袋いっぱいのスナック

「ただいま」

部屋を出ると、テーブルの上にレジ袋パンパンに入ったスナック菓子が置かれていた。

「ちょっと多くない？」

「へへ、買いすぎちゃった」

スナックをリクエストするといつも多めに買ってくる嫁さんだけど、今回のはさすがに多すぎだね･･･。

貧血で定期的に通院しているけど、今日は総合病院の産婦人科からの帰りだった。

僕は、さっさとテレビをつけて見ている彼女に背中越しに話しかけてみた。

「で、どうだった？検査」

「うん、癌だって」

「･･うん、そうなんだ」

そういう可能性もあるってネットにあったから、びっくりはしなかった。

ステージⅠで5年後生存率97.5％だとか。

僕の方がしょっちゅう体調悪くしていて、嫁さんはと言えば冬でも半そでで、生命保険の払い損だと笑っていたんだけどな。

「まぁ、手術することになるけど、それさえすれば問題ないって言ってたよ」飄々とした口調で彼女は言った。

確かに、大事にはならずに済むのかもしれないけど。

人生は、いつまでも凪でいるわけにはいかないんだな。突然波紋ができたりするんだ。

うん･･･。

まるでお菓子が主食だよね、って笑われたりするけど、これは何日分？

そういえば、入院中は面会謝絶だったっけ。

「ほら、残さず全部食べたよ」って、空の袋を見せた方がいいのかな。今度会う時は。

取り合えずいつものように仕事して、ミカン買って、洗濯とか掃除とかしておこうかな。